UZ Fabric×大々叶
Collaboration
UZ Fabricと 大々叶による歌舞伎にインスパイアされた特別コラボレーション始動!1stコレクションテーマは「KABUKU」。 歌舞伎役者として活動する中村橋吾が、和に根付いた感性から生み出すモダンアートプロジェクト「大々叶(ダイダイカノウ)」と「UZ Fabric」の特別なコラボレーションが実現。日本の美と伝統にインスパイアされたアイテムを発売します。
大々叶(ダイダイカノウ)
歌舞伎役者として活動する中村橋吾が、和に根付いた感性から生み出すモダンアートプロジェクト。そのクリエイションは「表現」から「プロダクト」まで多岐に渡る。
常識にとらわれず、何事も大きく大きく "可能"にして、"叶えて" いく事をテーマにした、歌舞伎役者 中村橋吾のアーティスト名。 国内外の劇場で歌舞伎役者として活動する傍ら、持ち前の和に根付いた感性を生かしたモダンアートやプロダクトデザインを手掛け、様々な企業とのタイアップを行う。 地球環境や世界平和など、社会課題を取り上げた「現代社会問題に挑むかぶき者」による「創作歌舞伎」は、アートパフォーマンスとして高く注目される。
中村橋吾 公式インスタグラム
@nakamura_hashigo
Collaboration Item
中村橋吾(歌舞伎役者 ・大々叶)×小寺沢裕子(UZ Fabric代表)
特別対談
伝統文化の継承と進化
日本の伝統芸能の代名詞とも言える歌舞伎の世界に身をおき活動する、 中村橋吾氏 歌舞伎の魅力をより多くの人に伝えるべく、舞台での演技のみならずジャンルやフォーマットを超えた様々な表現活動を展開する、若き革命児だ。 そして、ヴィンテージ着物をテキスタイルアートという新たな視点で捉え、 斬新なプロダクトを提案する〈UZ Fabric〉。 それぞれの「日本文化」「歌舞伎」「着物」に対する独自の想いとアイデアが融合し 発表されたのが「KABUKU」コレクションだ 。 プロダクトに込められた想いと、両者の考える、「これからの日本文化」とは?
自分たち歌舞伎役者の常識や、普段目にしている着物の素敵さに改めて気づかせてくれたのが〈UZ Fabric〉なんです
小寺沢「〈UZ Fabric〉を始めた当初、着物は(素材として)使うけれど、できるだけ日本すぎないこと、“和”にしないということは意識していたんです。テキスタイルとして着物の素敵な柄を、新しい形に生まれ変わらせたい、ということが第一でした。ただ、近年では海外のお客様もとても増えてきたということもあり、これまでは意識的に避けてきた、着物の持つ文化的側面/意味といったものをエッセンスとして取り込んでいくことで、よりこのブランドの理念に共感いただけるのではないか――ということをちょうど考えていたタイミングに、橋吾さんとご一緒できるということになって。日本の伝統である歌舞伎の世界にいながら、日本の文化を新しい形で伝える取り組みを多くされていて。橋吾さんとなら、“和”になり過ぎず、モダンな、新しい形で日本文化というものを醸し出せるものを作れるのではないかと」
中村「歌舞伎の世界でも 着物というものを大事に使います。10年、20年と何十年も大切に着物を使う。着物を手入れする衣装さんという職人さんもいる。その衣装さんたちが手入れしてくださることで、今でも着物が綺麗に残っているんですね。これは私たちの業界でも同じ問題があるのですが――今のものと 、昔のものでは、どうしても違ってしまう今のものが悪いというわけではないんです。ただ、昔の技術が本当にすごかったということ。手で作ること、クラフトの部分の強さというものが、昔の着物には表れていたと思うんですね。端切れひとつを手にとってみても、『こんな柄を誰が考えたんだろう』、『こんな生地を誰が作ったんだ』って驚かされるものがたくさんある。今回、私と〈UZ Fabric〉さんとで作ったプロダクトにも、段鹿子(だんかのこ)や麻の葉、十六むさしといったものがあしらわれています。そういったものの中に、私たち歌舞伎役者の常識であったり、普段から学んだり目にしているもの――そういったものの素敵さというものを、改めて気づかせてくれたのが〈UZ Fabric〉さんなんですよね」
“歌舞伎の伝統”とよく言われますが、革新の繰り返しがあってこそ伝統が生まれるんじゃないか、そう思います
中村「例えば、 “くいしばり”という絵柄があって、実際に手ぬぐいなど色々なものに使われることが多いんですね。もともと隈取をモチーフにして絵柄ではあるのですが、上下逆さまにしても同じ食いしばってる絵に見えるという。そういうのって、伝統的な絵柄であると同時に、モダンアートとしても見ることができるんじゃないか、と。何が言いたいかというと――“歌舞伎の伝統”とよく言われますが、伝統というものこそ革新の繰り返しがあってこそ、生まれるものなんじゃないか、と。
自分は若いころから、本当にファッションも大好きで。ストリートファッションや、ドメスティック・ブランドなんかにも触れてきて。STUSSYとかSupremeとか、裏原行って買い物して。古着屋に行ってはヴィンテージ・ジーンズの鑑定を覚えて、とか。もっとも多感な時期にそういったものに興味や愛着を持っていたんですね。で、同じように歌舞伎にも惹かれたんです。これはすごいな、と感じた。その自分が『すごいな、面白いな』と思ったものを、ただ伝えるだけではなくて、作っていきたいんですよね。それは具体的に何かを作りたい、と言うのは難しいんですが――感覚として、自分の中に落とし込んだ“歌舞伎”というものですよね。それは最高にクールなものだと思ってるんです。
歌舞伎の衣装の中にも、『これすごくいいじゃん』とか『古風だけどかっこいいな』って思うものがたくさんあって。これにもう少し現代的な要素を加えたら、また違う面白さが生まれるじゃないか、みたいな妄想を、こうして一つずつ形にしている、ということですね。僕はデザイナーではないけれど、自分が思う歌舞伎の素敵さと、今、世の中にある歌舞伎のかっこいいものとをかけ合わせたら、もっとすごいものが生まれるんじゃないかと、いつも考えていますね」
重要なのはスピード感。今、こうして橋吾さんと共鳴している部分をすぐに形にするのが、今回のプロジェクトで一番重要でした
小寺沢「最初は本当に、『何か一緒にできたらいいですね』という感じで。特に決まったアイデアがあったわけではなくて。でも、私はせっかくご一緒できるのであれば、早いとこやりたかったんですよ(笑)。スピード感というか。橋吾さんも非常にお忙しい方なので、たぶん、すぐに取り掛からないと1年、2年とあっという間に過ぎてしまうだろうな、と。だから 今、こうして共鳴している部分をすぐに形にするのがベストだと思ったんです。だったら、既存のプロダクトに手を加えればいいんじゃないか、っていうのが、最初の私の発想でした。
この半幅バッグは〈UZ Fabric〉のなかでも人気のあるプロダクトなんですが、これをベースにしてアイデアがプラスされるといいんじゃないかな、と。そのときに橋吾さんから歌舞伎の衣装の話をうかがったんです。柄や、生地、デザインですね。それぞれの演目には特徴的な衣装があるんだ、と。じゃあ、それをエッセンスにして、何か落とし込めたらいいいな、と」
中村「(実物を見て)最高ですよね、本当に」
小寺沢「なかなかいい感じに上がってきたかな、とは思います(笑)」
中村「構想はずっとうかがっていたし、イメージ写真はいただいていたんですが、実際に見ると本当にかわいらしいくて」
小寺沢「衣装を再現するのは、やはり難しかった。例えば、弁慶モチーフでも、生地も白黒のチェックを探して。麻の葉も、できるだけ近い色味の生地を探したんですが、これは難しいなと。だったら、もうその柄を上から乗せてしまえっていう発想に切り替えて」
中村「いや、これくらいの感じがいいんですよ。まったく同じものよりも、何をやろうとしているのか、やりたいのかという方向性が見えると思います。本当に見事です」 」
先人たちの感性や技術に対して、私たちはリスペクトを忘れてはいけない。 それは歌舞伎の物語や登場人物たちにも反映されているんです
中村「昔の人の感性、ひらめき、技術といったことに対して、今の時代に生きている私たちはもっとリスペクトするべきなんじゃないと思っていて。それは歌舞伎の物語や登場人物たちにも反映されているんです。それが生まれた当時の日本というものが、デザインや物語に在る 。歌舞伎という芸能として残っている、とも言えます」
小寺沢「着物という観点からいえば、昔のデザインや柄というものは、職人さんの技術あってのものなんですよね。どうしても時代を経て、そういった技術力や技といったものが失われていってしまう。職人さんの数もどんどん少なくなってしまっていって、受け継げなくなってしまっている、という部分もあります。とても残念なことに。でも、それを“活かす”ことはできるし、そうする必要があると思っています」
中村「新しいものが生まれるということは、全然悪いことじゃないんですよ。その物語がより後の世まで続いていくわけですから。お客様がこの三つの作品を見たとき、何か深いものを感じたり、『やっぱり素敵だな』とか、『お芝居を見てみよう』でもいい。それぞれの方の捉え方で、物語を感じ取ってくださればいい。このバッグ の中で表現されているのは、まさしく古き良き時代の日本、僕たちが生では体験することができない時代の残り香や、そこに対するリスペクトですからね。革新性と伝統とが、しっかりと繋がっている。それが何より大事だと思います」
着物の生地や柄に込められた想いをしっかりと受け継ぎながら新しいものに変わっていく。それが“文化”だと私は思っています
小寺沢「着物ってやっぱり着るにはハードルが高いし、今の時代、着ていく機会もとても少ないですよね。冠婚葬祭くらいかもしれない。それくらい、着物に触れる機会って少ないと思うんです。そういった時代でも、着物というものを残していくためにも、まずは触れる機会を増やす。そのためにいろいろなことを〈UZ Fabric〉はやっていて。昔のものを昔のまま、ではなくて、今の感性で身に着けることで、着物という文化と出会うきっかけを作りたい。昔の着物の生地や柄に込められたエッセンス、想いといったものをしっかりと受け継ぎながら、形はどんどん新しいものに変わっていく――私自身は、それが“文化”というものなのだと思っています」
中村「本当にその通りで。伝統を守る、と一言でいっても、やり方を間違えたら守れなくなってしまう。そこに必要なのは、絶対にリスペクトだと思うんです。その気持ちさえあればいい。ありがちなのは、そこに込められているものを見ないで通り過ぎてしまうこと。そこにちゃんと気づけるか、というのが大切なんです。物語であれ、技術であれ、人に対してであれ、すべてのことに繋がってくると思います。きちんと立ち止まってみたときに何か心が躍る。そういう感性は大事にしていきたいですよね」
Interview, text : Masako Karasawa
イベント情報
撮影スタジオ、撮影小道具レンタル、空間ディスプレイなどを手掛けるEASE(所在地:東京都品川区)は、目黒駅周辺のより一層の活性化や駅前のイメージアップを図るため、第6回エシカルクリスマスマーケット「目黒街角Heart&Artクリスマス」を2024年12月6日(金)~8日(日)に東京・目黒STUDIO EASEで開催いたします。