モノ作りの常識にとらわれないからこそ
生まれてくるプロダクトがある


■その出会いから、何かしらアイデアの発展であったり、モノづくりのアイデアが具体化していった、というような部分はあるんでしょうか?

「その出会いによって、というより、モノを作ろう、ということはもっと前から決めていたことななんです。」


■モノを作ることそのものに興味があった?

「何か……Webに飽きてたんですよね(笑)。今、私が本業でやっている(Webサイトのコンサルタントや制作)のは、あくまでも“人のもの”を作っているんですよね。お客様がいて、お客様が伝えたいことを表現するものとしてWebを作ったりしているわけです。20年間、たくさんのクライアントの方たち、メーカーの方たちとご一緒に仕事をしながら、モノづくりに対する姿勢や想いを、たくさんお聞きしてきたんですね。モノづくりに対する情熱や、そこに対する思い、どんな苦労があったのか――そういうお話を聞きながら、自分自身でモノを作って提供する、ということが羨ましいな、と感じていたと思います。

じゃあ、いざ始めようってなったときに、何をすればいいのかはまだ具体的にはわからないけれど、何かを作ってみたいな、と。本当にモノなんか作ったことがないから(笑)。だからまずは金光にお願いして、モノを作った経験のある人に来てもらうとか。とにかくもう本当に手探り。何にも分からない状態。『洋服ってどうやって作るの?』『そもそも、どういう人が作ってるの?』みたいな(笑)」


■しかも、着物のアップサイクルで、というシチュエーションは他にないわけですから、手探り、模索というよりも、むしろ開拓というか。

「そう、金光が一つひとつ、どうやって課題をクリアするのかを当たってくれて。本当に手探り。多分、普通のモノ作りだったら、もっと早く出来たんだろうと思うけど、何をするかもわかっていないから。着物を解かなきゃいけないし、洗わなきゃいけないし、とか。そういう一つひとつの工程を、何も知らないまま始めてるので。

それに多分、私の思いつくアイデアというのは、モノ作りをしてこなかった素人だからこそ生まれる変な発想なんですよ(笑)。『こういうことやれない?』とか気軽に言っちゃうんですね。だからちょっと変わったものになってるんだと思います。勿論、それを具現化してくれている金光はもう、本当に大変な思いをしてやってくれてるんだけど。いろんなところに相談しにいって、実験してもらって、っていう」


■ブランドの立ち上げから、最初のアイテムが出来上がってくるまで、どれくらいの期間がかかったんでしょうか?

「どれくらいだろう?半年以上はかかってるんじゃないかな、ワンピースのプロトタイプができるまでに。で、それをもとにブラッシュアップしていったので、最初の一点目が出来るまでに1年近くかかってると思う。少なくとも季節は3つくらい変わってたはず」


■一番難しい課題はどのあたりだったんでしょう?

「ワンピースの場合は、デザイン、形が気に入ったものになるまで、っていうのはあって。じゃあ、どこにお願いして作ってもらうのか、というところから。最初はパタンナーさんにパターンをあげてもらって、型紙を作って。そこから実際にサンプルを作って、着てみて。ここは違うとか、もう少しここを変えてとかって改良を続けたんですよね。なので、本当に手探りだった。

ただ、ワンピースの場合は着物を解体していないので。素材(となる着物を)一本渡して、それを『こんな感じで』ってお願いをして、ワンピースのパーツを取ってもらっている。だから、比較的手順が少ないんですよね。他の商品よりも。なので、パッチワークのストールあたりから、なかなか色々と困難なことが出てきた感じかな」


■ブランド・コンセプトである「使い切る」というポイントに近づくほど、やはり難易度が上がってくる、ということですね。

「そうですね。あとは、モノの形。要は、パッチワークというのは色んなものを組み合わせているから。最初に“着物をほどく”ところから始めなくちゃいけない。まあ、そこからして手間なわけです(笑)。自分たちでほどいてみたんだけど、着物1枚をほどくのに一晩かかりましたからね。着物をほどく、つまり反物に戻すっていうのはそれくらい大変。そうやって解体をして、そこから組み合わせを考えて、商品を組んでいく。

で、その後に、さらに古着だから洗わなきゃいけない、という。その洗いも、着物の段階から洗うのがいいのか、製品になってから洗うのがいいのか、といったことも何度も検討して。うん、洗いの問題が、金光が一番時間をかけて検討してくれたと思います」

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